Voyage dans les Alpes, précédés d'un essai sur l'histoire naturelle des environs de Geneve | ||||||||||||||||||||||
ソシュール 『アルプス旅行記』 Horace Bendict de Saussure (1740-1799)によるアルプス学術踏査の記録・旅行記で、アルプスの科学的研究のはじまりを示す記念碑的大作である。 Saussure は、ジュネーブ(スイス)生まれの地質学者。学者一家として名高い Saussure一族のひとり。ちなみに、言語学者として著名な Ferdinand de Saussure (1857-1913) もその一族である。 Saussureは、地質学 "Geology" という用語を最初に用いた人物で、湿度を測定する毛髪湿度計を作ったことでも知られる。また、水成論によりながらアルプスの科学研究を牽引しただけでなく、登山家でもあり、当時 J.J. Rousseau などの影響で、崇高で美に満ちた<自然>に目を開きつつあった西欧社会の人々に対し、登山の振興をはかった。 Saussure は、1760年に20ターラーの賞金を設けて、標高4807mのモンブラン初登頂の挑戦者を募った。そして26年後の1786年、シャモニーの医師であり山岳愛好家のイタリア人 Michel Gabriel Paccard と、水晶採りで登山ガイドの同じくイタリア人 Jacques Balmat により、ついにモンブランが初登頂され、Saussure 自身もその翌年、学術踏査としてモンブランを制覇した。 この踏査で、Saussure は、アルプスの植生、山々の関係や構造などを観察し、山中で大規模な褶曲を発見している。また、山頂では水の沸点と雪の温度や、同行した登山ガイドの脈拍などを測定している。 本書は、登山史としての扱いで、近藤等により冒頭のごく一部分が日本語に訳されたり(『世界山岳全集』/第1巻/朋文堂/1959年)、Gabriel Gohau の著作 "Histoire de la géologie" の日本語訳『地質学の歴史』 (菅谷暁訳/みすず書房/1997)の中で、若干の訳文と Gohau の解説を読むことができるが、全訳はもちろん、まとまった部分訳もまだない。 当図書室所蔵の資料は、v. 1(1803)、v. 2(1804)、v. 3(1796)、v. 4(1796)の出版で、リソグラフによる数葉の美麗な挿画が挟まれている。 なお、BNF(フランス国立図書館)が、本資料の第3巻(のみ)をすでにデジタル化しており、BNF電子図書館 "Gallica" にて、インターネットを通じて閲覧可能である。 http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k1029520 |
||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||
|